「アフィリエイト広告のリスク」

<発表者>
笠井北斗氏(一般社団法人日本アフィリエイト協議会代表理事、クロスワーク株式会社社長)

・概要
アフィリエイト広告に関して出稿主である通販事業者にどんなリスクが想定されるか、どうすればリスクを減らし売上と評価を高めていかれるか、という点について最新事情や事例を交えお話いただきました。

はじめに、広告主、ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)、個人ブロガー・ポイントサイトなどアフィリエイトサイト運営者という業界におけるプレイヤーや、それぞれの立ち位置について説明。特にアフィリエイト運営者の中では、アドネットワークやリスティング広告に出稿して集客する手法の「アドアフィリエイト」のトラブルが目立つため、出稿する際には充分な注意が必要としました。

リスクなく売り上げや評判を高めるアフィリエイト広告を運用するには、まずは信頼できるASPを選定。さらに、「適正な成果報酬」「広告素材など掲載のために必要な情報の提供」「商品や使用体験会など体験機会の提供」「違法・悪質サイトを排除し優良サイトと提携」などの必要項目を守ることが重要だと語りました。

また、昨年から今年にかけて相次ぐ行政による措置命令や注意喚起といったアフィリエイト関係者への取り締まりに関して、具体的な事例を挙げて指摘。アフィリエイトサイトが違反した場合に広告主が行政からのペナルティ対象になるケースについて法的な面から解説し、景品表示法、特定商取引法、薬事法など各法律でペナルティとなる可能性を示しました。広告主が処分された実例も挙げ、処分のきっかけは「アドアフィリエイト」が発端であることが多いと指摘し、広告主側にも悪質ネット広告の責任があると判断されると警鐘を鳴らしました。

アフィリエイトに関しては広告主側が「広告原稿の用意」「広告掲載の許可」「報酬支払の決定」を行うことができるため、広告主には「問題のある表示を行わない・行わせない権限がある」ことを強調。ASPなどの選択や運用を間違えると、行政処分や逮捕のリスクがあることに注意すべきと指摘しました。

その一方で、広告主はアフィリエイトの運用次第で売上や評価を大きく伸ばすことが可能であり、2021年はアフィリエイト&ネット広告業界の転換期として重要な年になると説明。問題のある運用を行っていた広告主が続々と退場せざるを得なくなっていて、健全な運用を行っている広告主は売上高が上昇していると締めくくりました。