改正個人情報保護法のポイント

テーマ:「改正個人情報保護法のポイント」

<発表者>
沢田登志子氏(一般社団法人ECネットワーク理事)

11月19日、2020年度第二回目の「法務研究部会」定例会がzoomを使いオンライン開催されました。テーマは「改正個人情報保護法のポイント」で、ECネットワークの沢田登志子理事に講師をお願いいたしました。今年6⽉に公布された「改正個人情報保護法」には、EC・通販事業者にとって重要な新ルールがいくつか盛り込まれています。やや複雑でわかりにくい箇所もあるため、これら事業を手がける担当者が知っておくべき概要とポイントについて解説していただきました。以下、抜粋を紹介いたします。

発表にあたり、まず沢田氏は今回の改正概要のポイントについて、1)「不適正な利用の禁止」、2)「『個人関連情報』を第三者提供する際の確認義務」、3)「個人の請求権拡大」、4)「『仮名加工情報』の新設」の4項目を提示。事業者が守るべき基本ルールとして、各項目の詳細内容を解説しました。

1)では、ルールが新設された背景には「リクナビ事件」や「破産者マップ」など悪質なケースがあったことを挙げ、これまでより一歩踏み込んだ判断が示されたと説明しました。
2)では、従来は除外要件だった「6ヶ月以内」という保有個人データの期間を削除した点に触れるとともに、混同しがちな「第三者提供」と「委託」の違いについて具体的に解説しました。また、今回新たに盛り込まれた「個人関連情報」という用語の解釈にも言及しました。
3)では、個人の利用停止等に関する請求権が拡大されたことに触れ、例えば個人データ漏洩後も再発防止措置がとられておらず漏洩の可能性があるなど「本人の権利や正当な利益が害されるおそれがある場合」は、個人データの利用停止や第三者への提供停止を請求できるようになると説明しました。
4)では、新設の「仮名加工情報」の定義について、“氏名等を削除・置き換え個人識別符号を削除”したものであると「suica」の事例などを挙げて説明。既存の「匿名加工情報」との違いを示しました。

その後の質疑応答はチャットで実施し、短い時間ではありましたが「仮名加工情報」などについての意見交換が行われました。

「改正個人情報保護法」は、2年以内(2022年6月まで)に施行されます。今後パブリックコメントを募集し、来年以降にはガイドラインやQ&Aで詳細が明確化されていく見通しです。EC・通販事業者の皆さまは、引き続きこれらの内容について注視する必要があると思われます。

<沢田登志子氏プロフィール>

2003年に経済産業省を退職し、次世代電子商取引推進協議会(ECOM)研究員を経て有限責任法人ECネットワークを設立。消費者・事業者双方からEコマースのトラブル相談を受ける傍ら、現在は民間企業や団体において、プライバシーやデータ保護関連の有識者会議に参画。大手ECプラットフォーム事業者が今年8月に設立したオンラインマーケットプレイス協議会(JOMC)の事務局も務める。
(ECネットワークURL https://www.ecnetwork.jp/ )