「取引デジタルプラットフォーム消費者保護法」と「デジタルプラットフォーム取引透明化法」が与えるEC事業者への影響

<発表者>
一般社団法人ECネットワーク理事 沢田登志子氏

・概要

今年5月に施行された消費者庁の「取引デジタルプラットフォーム消費者保護法」と昨年2月に施行された経済産業省の「デジタルプラットフォーム取引透明化法」について、通販・EC事業者への影響という観点から、両法律の概要と運用状況、今後の課題とされていることなどを解説していただきました。

まず、「取引デジタルプラットフォーム消費者保護法」に関しては、B2Cオンラインモールを対象とする法律であり通販・ECへの直接の規制ではないものの、出店者にも影響が生じる可能性があると説明。出店審査や苦情対応等に関してモールに努力義務が課されていることから、モールによる審査(商品・表⽰・広告・顧客対応等)の強化や、違反へのペナルティ強化なども想定できるとの指摘がありました。

また、ECネットワークが事務局を務める「オンラインマーケットプレイス協議会」会員の楽天グループが公表する指針についての取り組みを例に挙げ、違反点数制度や禁⽌商材モニタリングなど導入している内容を紹介。同法律ではデジタルプラットフォーマーの規模は問われていないため、大手に限らず、どのモールにおいても出店している通販・EC事業者に関わってくる可能性があるので注意が必要としています。

一方の「デジタルプラットフォーム取引透明化法」は、一定規模以上のオンラインモールやアプリマーケットに対し、公正性や透明性向上の取り組みを求めるものであると解説。ECモールではアマゾン、楽天、ヤフー、アプリストアではAppleとGoogleが対象との説明がありました。

この法律は出店事業者の権利や利益の確保につながることが期待されていて、出店者に対するモールの姿勢の透明化、苦情申出ルートの整備、モールによる理不尽な⾏為の是正などが見込める可能性があるとのことです。無料相談窓口として、オンラインモール利用事業者向には公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)、アプリストア利用事業者には一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラムを設置。事案によっては、公正取引委員会の独占禁止法と連動する可能性も示唆されていると言及しました。