大会テーマ:
流通イノベーションとダイレクトマーケティング

2013年6月30日(日)、明治大学 駿河台キャンパスにて、日本ダイレクトマーケティング学会主催による第12回全国研究発表大会が開催されました。 約140名の方にご参加いただき、盛会のうちに終えることができました。

午前の部は、三会場に分かれての研究発表を行いました。

第一会場では、東洋大学 大瀬良 伸氏による「アパレル業界における『顧客情報の活用実態とその課題』」、続いて目白大学 橋本 雅隆氏が「宅配便ネットワークの革新が通信販売に及ぼす影響について―プラットフォーム戦略の観点から―」、最後に宝塚大学 菅原 正博氏より「中国および日本の通販ビジネスの比較研究―日中ネット通販の相違点と共通点―」についての発表がありました。

第二会場では、(株)ブラックス 岩井 信也氏による「顧客基盤評価理論の変遷」、続いて(一財)流通システム開発センター 市原 栄樹氏が「国際標準化組織GS1が進めるモバイル用バーコードの標準化とそのインパクト―オムニチャネルにおける情報システムのインフラについて―」、最後に北海商科大学 橋元 理恵氏より「観光ウェブのアメニティ情報提供―観光ウェブ情報の現状と課題」についての発表がありました。

第三会場では、(株)マネージ 藤田 聡氏による「『通販法務ハンドブック』の深耕に関する研究」、続いて東京理科大学 佐野 夏樹氏が「RFIDデータを用いたショッピングにおける顧客行動のモデリング」、最後に西南学院大学 佐藤 正弘氏より「ソムリエ型マーケティング―選択しないという選択―」についての発表がありました。

午後は、ヤマト運輸(株) 常務執行役員 長尾 裕氏の基調講演Ⅰ「アジアNO.1の流通・生活ソリューションプロバイダーを目指して」よりスタートしました。長尾氏は、今年8月に竣工する厚木ゲートウェイを中心として、東・名・大の幹線ネットワークを強化し、これまでは21時まで荷物を貯めて21時に一気に車を出すという仕組みだったが、もっと多頻度に、山手線のようにずっと走らせるネットワークを新たに作り始めている、と話しました。

続いて、基調講演Ⅱ「お客さまに喜んでいただく物流革命~オンライン・オフラインビジネスの融合~」と題し、アマゾン ジャパン(株) SCM 輸送統括事業本部 事業本部長 鹿妻明弘氏による講演がありました。鹿妻氏は、「これまではBtoB中心の物流であったのに対し、ECを中心としたオンラインビジネスが増す中でBtoCの取り扱い物量が増えてきた。今後は、庫内オペレーションと配送キャパシティを増やすインフラの変革が必要」と語りました。

講演の最後は、特別講演として、メリルリンチ日本証券(株) マネージングディレクター 青木英彦氏より「流通業の経営革新とネット通販の展開」についてご講演いただきました。青木氏は、「既存の流通チャネルの効率が悪ければ悪いほど、新しいチャネルを作った企業はチャンスとなる。eコマースはその一環として見ている」と話しました。

特別講演終了後の会員総会では、役員の変更が決議されました。新しく理事として、海老根 智仁氏((株)モブキャスト 取締役社長室最高顧問)、大瀬良 伸氏(東洋大学講師)、鈴木 秀男氏(慶應義塾大学教授)、橋本 雅隆氏(目白大学教授)、矢野 尚幸氏((公財)流通経済研究所 主任研究員)が就任されました。また、6名の理事と2名の監事の退任があり、新たな監事に懸田 豊氏(青山学院大学教授)、疋田 聰氏(東洋大学教授)が就任しました。

今年度の学会賞は、学術賞、奨励賞、田島記念賞の受賞はなかったものの、審査委員が厳密に審議した結果、日本におけるダイレクトマーケティングの優れた研究業績および過去に遡った著作等に授与される特別賞に石川 博康氏が選ばれました。
最後に、次回開催校へ引継ぎ、第12回大会は幕を閉じました。来年度は、 2014年5月頃に、福岡大学にて開催する予定です。