全国研究発表大会予稿
「新常態」の生態系にマッチした「Direct and Digital Marketing」という新しい革袋を用意する」
国際ファッション専門職大学 菅原正博
1.問題提起
① 今回の統一論題で取り上げている「デジタルコンテンツの視点から見たマーケティングの未来」は、結論的に見て「滅亡」の道しか選択肢がないといえる。
② 旧常態の「ダイレクトマーケティング」を,いったん、デスラプションする。
③「新常態」の生態系にマッチした「Direct and Digital Marketing」という新しい革袋を用意するする必要がある。
④ 「ファッションEC、新たな競争の号砲。ヤフーvs楽天vs アマゾン 三国志物語」に重点を置いて議論したい。
⑤ 今後の課題として、泥船化する通販業界の将来に備えて、若手社員を救うための「学び直し」の訓練機関を開校する可能性について述べたい。
2.5つの検討課題
検討課題1
なぜデジタルコンテンツの視点から見たマーケティングの未来は、結論的に見て「滅亡」の道しか選択肢がないのか?
ここでの検討課題は、「マーケティング」のとらえ方にある。従来、「ダイレクトマーケティング」が根拠にしてきた「マーケティング」は、コロナ禍以前の「旧常態」の下で、体系化されてきた。コトラーの体系では、「マーケティング1.0」,「マーケティング2.0」の産物であった。今回、統一論題で取り上げた「デジタルコンテンツの視点に立った「マーケティング未来」も、「旧常態」に軸足を置く限り、コンテンツをデジタル化するだけでは、「ダイレクトマーケティング」の未来は展望できないと判断した。
検討課題2
なぜ旧常態の「ダイレクトマーケティング」を、いったん、デスラプションすべきなのか?
昨年度の大会で、旧常態のもとで成長してきた大手通販会社の再生戦略を検討したが、その再生する確率は、10%しか期待できなという結論に達した。
検討課題3
なぜ「新常態」の生態系にマッチした「Direct and Digital Marketing」という新しい革袋を用意するする必要があるのか?
英国のIDMは、2011年に「ダイレクトマーケティング」の体系の中に「デジタル」を組み込んだ「新常態」のマーケティングを打ちだしている。本学会も、「デジタルDM学会」に変身すべきではないか。
検討課題4
2019 年度、ヤフージャパンは ZOZO を吸収合併することにより、ファッションECの分野で、 競争優位を確保しようとしている。一方、アマゾン、楽天も、アパレル市場で,それぞれ、 1 兆円ビジネスを目指しはじめ、ファッション EC 市場を巡って 、新たな競争の号砲。ヤフーvs 楽天 vs アマゾン 三国志物語は始まっている。
検討課題5
今後の課題として、泥船化する通販業界の将来に備えて、若手社員を救うための「学び直 し」の訓練機関を開校する可能性について真剣に議論すべき時期に来ている。「旧常態船」 から飛び降りて、新常態船に乗り換える「教育訓練機関」の開設が急務である。
解決策の提言
この5つの課題を解決するために。「新常態」で持続的成長を可能にする「ブランディング・ イノベーション」という「新しいデザイン経営」の枠組みを提案したい。この方法を身に 付ければ、「新常態船」のもとで、新しく航海に乗り出せる。