FEATURED NEWS
2021年1月14日 開催レポート(法務研究部会)
定期購入規制の見直しについて <発表者> 矢野 誠二氏(広告リスク研究所) 昨年、消費者庁では、「特商法、預託法の制度の在り方検討会」が設置され、特商法については、「お試し価格」などと謳って、「初回に限って無料や大幅な割引価格を提示する一方で、定期購入契約であることの表示が分かりにくい。さらには、定期購入契約の解約等に応じない」といった、「詐欺的な定期購入商法」に対する規制が必要との報告が行われました。 検討結果は昨年8月に公開された報告書にまとめられましたが、いわゆる「詐欺的な定期購入商法」を課題に設定した上で、以下のような対応が必要としています。 特商法における「顧客の意に反して通信販売に係る契約の申込みをさせようとする行為」等に関する規制を強化すべき。 「解約・解除を不当に妨害するような行為を禁止するとともに、解約権等の民事ルールを創設する必要がある。 定期購入に係る消費者相談の9割以上を占めるインターネット通販における『意に反して契約の申込みをさせようとする行為』に係るガイドラインの見直しを早期に実施するとともに、法執行を強化する必要がある。 今後、ガイドラインの改定や新たな法規制の導入が進められていくと思われますが、具体的な規制内容に関するパブリックコメントが実施された際には、規制の対象が「詐欺的な定期購入商法」から拡張されて、通常の定期購入契約が過度に制約されることが無いよう、業界として是々非々の対応が求められます。 同時に、総額表示の欠如、解約・返品・最低継続期間などの情報が、伝わりやすく表示されていないなど、現行規制に照らして不十分な面がある媒体も少なくありませんので、速やかに自社媒体の確認を行い、必要な訂正をして今後の規制強化に備えておくことが望まれます。
2021 1/19 第2回定例部会
「子どもの月齢・志向性に応じて最適な知育玩具をレンタルするサブスクリプション型サービス『トイサブ!』の“これまで”と“これから”」 <発表者> 志田 典道 氏 株式会社トラーナ 代表取締役 去る1月19日に、WEBコミュニケーション研究部会の2020年度第2回定例会が開催されました。今回のテーマは「子どもの月齢・志向性に応じて最適な知育玩具をレンタルするサブスクリプション型サービス『トイサブ!』の“これまで”と“これから”」。発表者はトラーナ 代表取締役の志田典道さんです。 志田さんは、2015年3月にトラーナを設立。ご自身の幼少時の体験から生まれた、人間をその属性により十把一絡げにしないという“哲学”に基づき、子どもの月齢や志向性に応じた知育玩具のサブスクリプション・レンタル・サービス「トイサブ!」を提供すると同時に、これを通じて収集した顧客データに基づくオリジナル玩具の開発に乗り出しています。 従来の玩具が、TV番組のキャラクターに象徴されるように、旧態依然とした社会的役割意識に基づき開発されがちな中、同社では前述の哲学に基づき、実ユーザーの視点を取り入れた商品開発を実践。これにより新たな親子の時間を演出し、未来の子供と玩具を取り巻く環境を変革していくことが、志田さんの胸に秘められた想い。こうした熱い想いが、従業員のモチベーションを刺激し、日本サブスクリプションビジネス振興会の2019年度「サブスクリプションビジネス大賞」グランプリの受賞を果たしました。 今回の定例会では、まずは前述の起業の経緯に触れた上で、サービスの概要を紹介。基幹サービスである「トイサブ!」は、①顧客データを元に隔月で玩具を選定・発送、②顧客が玩具を利用した上で評価をフィードバック、③評価情報に基づき次のプランを作成し、発送、次号到着後に利用済みの玩具を返送するというサイクルを繰り返す仕組み。不要な玩具はいつでも返却できるため、家庭内における玩具の保管スペースを削減すると同時に、エコフレンドリーである点も、時代のニーズに叶っていると言えるでしょう。 サービスの概要に続いては、利用状況を紹介。2020年にTVCMを開始したことなどに伴い、ビジネスは好調に推移しており、2020年11月末現在の継続ユーザー数は約7,224人に達しているそうです。これを受けて、同年には「ベビー用ラトル」(赤ちゃんのための握るおもちゃ)や「木琴 小さな太陽」など、ユーザーの声に基づくPB商品の開発も実現。今後もPB商品の開発に注力すると同時に、2025年からはオリジナルのキャラクター開発にも着手するなど、「玩具サブスクリプションで得た顧客・流通・データ基盤を元に産業バリューチェーンを自社に取り込む形で事業を拡大していく」とのことです。 最後に、今回の定例会では、多くの参加者からzoomのチャット機能を使って質問やご意見をいただくと同時に、志田さんには発表の随所に織り交ぜてご回答いただいたことで、とてもインタラクティブな運営が実現しました。緊急事態宣言中にもかかわらず、気持ちよく発表をお引き受けいただいた志田さんはもちろん、質問を通して定例会を盛り上げてくださったご参加の方々にも、心から御礼を申し上げます。 (リポート担当:西村道子) [...]
2020年12月15日 開催レポート(法務研究部会)
将来価格を比較対象とする二重価格表示の執行方針について ・発表者:法務部会部会長 高橋善樹弁護士 ・概要: 020年9月に「将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示に対する執行方針(案)」が消費者庁から公表され、9月~10月にかけてパブリックコメント募集が行われました。この(案)は最終方針ではないものの、当セミナーでは、これを材料として通販事業者への影響を検討しました。 消費者庁が持つ問題意識として、消費者意識の調査結果から「将来価格についての信頼性が非常に高い」ことが挙がっています。今回のセミナーでは、1)消費者庁の問題意識、2)執行方針のポイント、3)将来価格での販売と媒体の問題、の3点について高橋弁護士による解説が行われました。 1)では、守る気もない将来価格表示を気軽に示しているケースも多いことから、消費者庁は厳しい方針で臨む方針であるとされています。また、「将来価格」は有効な販売促進方法であることは否定できないものの、過去価格の「8週間ルール」ように明確な証拠があるわけではなく、販売実績がないという点で、“潜在的な危険性”が内在していると指摘されています。その危険性があることから、販売期間については、セール価格以上の価格にて販売する期間を最低2週間以上設けることが必要であり、将来価格での販売期間が明示されている場合については、不当表示に該当しないとの考えとなっています。 2)については、将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示は、不当表示につながるおそれが本質的に内在している点を重視。表示した将来の販売価格で販売することが確かな場合以外は、基本的に行うべきではないというスタンスだとしています。基本的な考え方として、合理的かつ確実に実施される販売計画を有しているか、セール期間後に表示どおり将来の販売価格で販売したかがポイントであると指摘。セール期間経過後に将来の販売価格で販売していない場合には、セール期間中の表示について違法性が推認できるため、原則として表示開始時点から有利誤認表示として取り扱われるとされています。 3)については、 テレビショッピングやネット販売など媒体の違いについて現在の執行方針では取り上げられていないため、販売場所となる拠点や時間差、継続性などに関して課題があるとのコメントがありました。 高橋弁護士によれば、通販事業者にとっての一般的な販売形態の意味、媒体の違いについての評価は明らかにされていないなどの点はあるものの、将来における販売価格での販売期間が具体的に示された点は行動指針として評価できるとのことでした。 ※【ご参考】パブリックコメント結果を受け、その後12月25日に消費者庁から以下の発表がありました。 「将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示に対する執行方針(案)に関する意見募集の結果の公示及び同執行方針の成案の公表について」 https://www.caa.go.jp/notice/entry/022622/
2020年11月19日 開催レポート(法務研究部会)
改正個人情報保護法のポイント テーマ:「改正個人情報保護法のポイント」 <発表者> 沢田登志子氏(一般社団法人ECネットワーク理事) 11月19日、2020年度第二回目の「法務研究部会」定例会がzoomを使いオンライン開催されました。テーマは「改正個人情報保護法のポイント」で、ECネットワークの沢田登志子理事に講師をお願いいたしました。今年6⽉に公布された「改正個人情報保護法」には、EC・通販事業者にとって重要な新ルールがいくつか盛り込まれています。やや複雑でわかりにくい箇所もあるため、これら事業を手がける担当者が知っておくべき概要とポイントについて解説していただきました。以下、抜粋を紹介いたします。 発表にあたり、まず沢田氏は今回の改正概要のポイントについて、1)「不適正な利用の禁止」、2)「『個人関連情報』を第三者提供する際の確認義務」、3)「個人の請求権拡大」、4)「『仮名加工情報』の新設」の4項目を提示。事業者が守るべき基本ルールとして、各項目の詳細内容を解説しました。 1)では、ルールが新設された背景には「リクナビ事件」や「破産者マップ」など悪質なケースがあったことを挙げ、これまでより一歩踏み込んだ判断が示されたと説明しました。 2)では、従来は除外要件だった「6ヶ月以内」という保有個人データの期間を削除した点に触れるとともに、混同しがちな「第三者提供」と「委託」の違いについて具体的に解説しました。また、今回新たに盛り込まれた「個人関連情報」という用語の解釈にも言及しました。 3)では、個人の利用停止等に関する請求権が拡大されたことに触れ、例えば個人データ漏洩後も再発防止措置がとられておらず漏洩の可能性があるなど「本人の権利や正当な利益が害されるおそれがある場合」は、個人データの利用停止や第三者への提供停止を請求できるようになると説明しました。 4)では、新設の「仮名加工情報」の定義について、“氏名等を削除・置き換え個人識別符号を削除”したものであると「suica」の事例などを挙げて説明。既存の「匿名加工情報」との違いを示しました。 その後の質疑応答はチャットで実施し、短い時間ではありましたが「仮名加工情報」などについての意見交換が行われました。 「改正個人情報保護法」は、2年以内(2022年6月まで)に施行されます。今後パブリックコメントを募集し、来年以降にはガイドラインやQ&Aで詳細が明確化されていく見通しです。EC・通販事業者の皆さまは、引き続きこれらの内容について注視する必要があると思われます。 <沢田登志子氏プロフィール> 2003年に経済産業省を退職し、次世代電子商取引推進協議会(ECOM)研究員を経て有限責任法人ECネットワークを設立。消費者・事業者双方からEコマースのトラブル相談を受ける傍ら、現在は民間企業や団体において、プライバシーやデータ保護関連の有識者会議に参画。大手ECプラットフォーム事業者が今年8月に設立したオンラインマーケットプレイス協議会(JOMC)の事務局も務める。 (ECネットワークURL https://www.ecnetwork.jp/ ) [...]
2020 9/30 第1回定例部会
「With&Afterコロナ時代のビジネスを活性化する!! 社員によるSNS活用のススメ」 <発表者> 徳力 基彦 氏 noteプロデューサー/ブロガー、アジャイルメディア・ネットワーク アンバサダー 去る9月30日に、WEBコミュニケーション研究部会の2020年度第1回定例会が開催されました。今回のテーマは「With & Afterコロナ時代のビジネスを活性化する!! 社員によるSNS活用のススメ」、発表者はnoteのnoteプロデューサー/ブロガーであり、アジャイルメディア・ネットワークのアンバサダー/ブロガーでもある徳力基彦さんです。 徳力さんには、折しも東日本大震災が発生した2011年3月11日に当部会が月刊『アイ・エム・プレス』の協力を得て開催したセミナーのパネルディスカッションにもご出演いただいたので、結果的にパンデミックのタイミングで2回もご講演いただいている格好。そして今回は当部会初のオンライン開催でもありましたが、通信のトラブルもなければ、オンラインでのご講演経験豊富な徳力さんのリードによりスムースな進行を実現することができました。 今回の進行は、まず前半で徳力さんがテーマに基づく発表を行われた後、後半ではチャットにより寄せられた受講者からの質問に回答していただく形。発表の骨子は、インターネットの進展に伴う情報爆発により、かつてのような情報をインプットして記憶する時代は終わり、収集した情報をアウトプットすること、つまり、自分のメモのつもりでブログやSNSに記すことで、結果的に誰かの役に立つといった、プル型のコミュニケーションが大切になってきているというものでした。 後半の質疑応答では、炎上などのリスクを回避するためのガイドラインのあり方、ブログのほかTwitter、facebook、Instagram、noteなどさまざまなプラットフォームをどのように組み合わせていけば良いか、いわゆる“中の人”によるSNSを駆使したコミュニケーションに対する評価は? などの質問に回答いただくと共に、企業によるSNS活用の注目事例として、ビームスの店頭スタッフによるブログでの情報発信をご紹介いただきました 今回の発表内容は、徳力さんがこの8月に上梓された著書『「普通」の人のためのSNSの教科書』(朝日新聞出版)の内容に準じたもの。当日、参加はできなかったものの、興味があるという方は、ぜひ本書をご一読ください。 [...]
2019年10月4日 開催レポート(顧客データマネジメント研究部会)
10月4日、小林製薬(株)会議室にて顧客データマネジメント研究部会を開催し、30名が参加した。 部会長である筑波大学大学院教授の津田氏による部会設立経緯の説明の後、早稲田大学大学院非常勤講師の松田氏より、「共同データベースのマネジメントについて」の発表があった。松田氏は、ITサービス企業で通販のシステム構築に携わっており、現在は、通販の手法を用いて、美術館など観光地の来訪者のデータベース管理を行っている。複数の美術館・博物館でデータベースを共有し、PRに活かすという取り組みについて紹介があった。 続いて、小林製薬の尾崎氏より、同社の事業内容について説明があった。社員からの製品や業務回線に関するアイディア提案が年間5万件以上あるとの説明に、参加者から驚きの声が上がった。
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