FEATURED NEWS
2021年7月15日 開催レポート(法務研究部会)
不実証広告対策における“失敗の本質” -根拠資料はなぜ認められないのか?- <発表者> 矢野 誠二氏(広告リスク研究所) ・概要 不実証広告の疑いをかけられ、行政の求めに応じて提出する広告表示の根拠資料はなかなか認められず、不当表示として処分されてしまうことが多い。これらの資料には、商品ジャンルや訴求事項を問わず共通している、いわゆる“失敗の本質”ともいえる以下のような問題点が認められる。 1.根拠資料の用途を認識していない 行政は「処分が必要となる可能性が高い」と判断して根拠資料提出時を求めている状況であり、記載事項の不備や論理矛盾は、確認不足との判断につながる。にもかかわらず、通販事業者・納入業者間で共通の認識ができればよいという、販売商品決定のための資料という認識しかない。 よくある根拠資料の問題点として、以下のような課題が挙げられる。 ① 広告表現と対応した“目的”“結論”の記載なし。(第三者機関の試験成績書のみ)⇒広告表現の責任は通販事業者に。 ② 再現試験可能な“試験方法”の記述無し⇒試験内容も分からないのに“確認した”とは主張できない。 ③ 医師や大学教員等の監修⇒景表法の知識が欠如した専門家が無責任に関与する例も。 ④ 取引先の協力不足。⇒意識面、スキル面の両方で問題が認められるケースが多い。地道に働きかけて改善を図らなければ、景表法リスクはなくならない。 ⑤ 資料はあっても、自社でチェックした記録が保存されていない。及び、チェック手順がルール化されていない。 [...]
2021年6月17日 開催レポート(法務研究部会)
プログラムの医療機器該当性に関するガイドラインについて <発表者> 矢野 誠二氏(広告リスク研究所) ・概要 平成25年11月薬事法改正により医療機器にプログラムが加わり、その後、PCや携帯端末にインストールするいわゆるアプリが増えたことを受けて、令和2年7月「家庭用心電計プログラム」「家庭用心拍数モニタプログラム」というジャンル(一般的名称)が新設され、令和3年3月薬生機審発0331 第1号・薬生監麻発0331 第15 号「プログラムの医療機器該当性に関するガイドラインについて」(https://www.pmda.go.jp/files/000240233.pdf)の中で、より明確化細緻化された医療機器該当性判断の指標が示された。 この中で、医療機器非該当に区分された商品は、雑貨としての販売が可能である。 一般人向け医療機器非該当プログラムとは、基本的に、「疾病の診断・治療・予防を意図していない」ものでなければならず、ガイドラインの中では以下のようなものが例示されている。 ・個人(患者を含む)の健康状態又は治療内容に関する情報を整理、記録、表示する ・運動管理等の医療・健康以外の目的に使用する(寝苦しさを検知してエアコンを制御、脳年齢パズル) ・医療関係の電子書籍や疾患や薬剤などに関する情報提供 ・運動強度や生活状況を検知して、健康の維持・増進のためのアドバイスを提供する ・健康管理情報(体重、血圧など)を表示・保管・転送する(医療機器からの転送を含む) ・検査データ等から糖尿病などの多因子疾患のリスクを健常人に提示する ・お薬手帳、母子手帳の情報を表示、記録する ・健康管理サービス提供者と健康履歴データを共有する [...]
2021年5月20日 開催レポート(法務研究部会)
「期間限定広告」の不当性に係る試考 <発表者> 矢野 誠二氏(広告リスク研究所) ・概要 期間限定販売の広告では、値引きの幅を示すために用いる比較対照価格が不当な価格である場合等は有利誤認表示とみなされる。さらに、有利な条件が適用される期間表示が実態と異なることで、当該取引が著しく有利と消費者を誤認させる場合も不当表示とみなされ、措置命令も少なからず発出されている。 前者の価格の不当性については、ガイドライン等で判断基準が示されているが、後者の期間表示の不当性については、セール期間の延長やセールの繰り返しについて、不当性を判断する指標が示されていない。 そこで、本発表では、セール期間を延長したり、短期間で繰返したりする過程で、不当な比較対照価格による二重価格表示の状態に陥ることがあることに着目し、その視点から、セール期間に関する表示が不当表示となる期間延長や繰返しの要件について検討した。 期間限定価格には、“過去の販売価格を比較対照価格とした二重価格表示”と“将来の価格を比較対照価格とする二重価格表示”の二つの要素が含まれる。 過去の販売価格を比較対照価格として期間限定値引きをする場合、セール再開時に「通常価格」が適正な比較対照価格としての要件を満たしていなければならない。なお、限定販売の期間が明示されていれば、期間中に要件を満たさなくなることは差し支えない。 セールを繰り返す場合も、セール再開時に表示する「通常価格」が適正な比較対照価格としての要件を満たすように休止期間(通常価格での販売期間)を設定する必要がある。具体的な措置としては、限定期間終了後、常に、直前の限定期間を上回る日数だけ「通常価格」による販売を行うことがある。 期間限定価格を将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示と捉えた場合、原則として期間の延長は認められず、〝新発売記念セール“などセール期間以前に販売実績がない場合はセール終了後2週間以上比較対照価格で販売しなければ不当表示とみなされるリスクが否定できない。 過去の販売実績を比較対照価格とした場合も、“今だけ○○割引”といった、セール終了後には対照価格で販売する旨を強調して、セール期間中の購入を強く促す広告表現を避け、期間延長や繰返し実施する可能性について表示することで、消費者の誤認を防止することが望ましい。
2021年3月18日 開催レポート(法務研究部会)
「アフィリエイト広告のリスク」 <発表者> 笠井北斗氏(一般社団法人日本アフィリエイト協議会代表理事、クロスワーク株式会社社長) ・概要 アフィリエイト広告に関して出稿主である通販事業者にどんなリスクが想定されるか、どうすればリスクを減らし売上と評価を高めていかれるか、という点について最新事情や事例を交えお話いただきました。 はじめに、広告主、ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)、個人ブロガー・ポイントサイトなどアフィリエイトサイト運営者という業界におけるプレイヤーや、それぞれの立ち位置について説明。特にアフィリエイト運営者の中では、アドネットワークやリスティング広告に出稿して集客する手法の「アドアフィリエイト」のトラブルが目立つため、出稿する際には充分な注意が必要としました。 リスクなく売り上げや評判を高めるアフィリエイト広告を運用するには、まずは信頼できるASPを選定。さらに、「適正な成果報酬」「広告素材など掲載のために必要な情報の提供」「商品や使用体験会など体験機会の提供」「違法・悪質サイトを排除し優良サイトと提携」などの必要項目を守ることが重要だと語りました。 また、昨年から今年にかけて相次ぐ行政による措置命令や注意喚起といったアフィリエイト関係者への取り締まりに関して、具体的な事例を挙げて指摘。アフィリエイトサイトが違反した場合に広告主が行政からのペナルティ対象になるケースについて法的な面から解説し、景品表示法、特定商取引法、薬事法など各法律でペナルティとなる可能性を示しました。広告主が処分された実例も挙げ、処分のきっかけは「アドアフィリエイト」が発端であることが多いと指摘し、広告主側にも悪質ネット広告の責任があると判断されると警鐘を鳴らしました。 アフィリエイトに関しては広告主側が「広告原稿の用意」「広告掲載の許可」「報酬支払の決定」を行うことができるため、広告主には「問題のある表示を行わない・行わせない権限がある」ことを強調。ASPなどの選択や運用を間違えると、行政処分や逮捕のリスクがあることに注意すべきと指摘しました。 その一方で、広告主はアフィリエイトの運用次第で売上や評価を大きく伸ばすことが可能であり、2021年はアフィリエイト&ネット広告業界の転換期として重要な年になると説明。問題のある運用を行っていた広告主が続々と退場せざるを得なくなっていて、健全な運用を行っている広告主は売上高が上昇していると締めくくりました。
2021年2月18日 開催レポート(法務研究部会)
「『将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示に対する執行方針』に関するパブリックコメントの結果及び同執行方針について」 <発表者> 法務研究部会長 高橋善樹弁護士(太樹法律事務所) 2020年12月に実施した第3回法務研究部会では「将来価格を比較対照価格とする二重価格表示の執行方針について」を取り上げましたが、その後、同年12月25日にパブコメの結果概要および執行方針が公表されました。前回の部会で課題としていた通販事業者にとっての「一般的な販売形態」に関してパブコメにより具体例が示され、執行方針の本文についても追記個所が見られました。 これら内容についてフォローすべき点が複数あったことから、第5回法務部会において再びテーマとして取り上げるとともに、特定商取引法改正のパブコメが出された際の意見書作成の準備など、問題意識について共有すべくポイント解説を行いました。 今回公表されたパブコメはかなりボリュームがあり、企業にとっては参考になると思われます。変更点については1つ1つ当たって確認し、レジメに追記として加えました。全体ではたいした変更とは言えないものの、消費者庁がどのような意味で追記したのかを考えてみると役に立ちます。また、追記個所については、消費者庁が施した追記の契機や理由を押えておく必要があると思います。 今回の執行方針では、将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示の意味について「過去の販売価格が存在しているか否かを問わず」と、景品表示法を適用する場合の考慮事項等を明らかにしています。また、適用する際の考慮事項として、「例えば、一般的な販売場所とはいえない場所のみに商品を陳列する予定であるなど」との解説を加えました。新たに「のみ」が付けられたことは、テレビやネットを通じた「通信販売」という販売形態を念頭に置いている可能性を示唆しています。 従いまして、まずは「将来その価格で販売することがはっきりしている」「期間や期限をあらかじめ明示する」など、基本的なポイントを前もって押えておくことが重要です。これら基本事項をクリアしていない場合は、「合理的かつ確実に実施される販売計画を有していなかった」と強く疑われてしまう可能性があるので注意してください。
2021 2/19 第3回定例部会
「“役に立ちたい人”の気持ちを後押しするソーシャルアクションサービス『May ii(メイアイ)』の現状と今後の可能性」 <発表者> 松尾 佳菜子 氏 大日本印刷株式会社ABセンターコミュニケーション開発本部 域創生事業推進ユニット 事業推進部 ソーシャルサービス開発グループ 去る2月10日に、WEBコミュニケーション研究部会の2020年度第3回定例会が開催されました。 今回のテーマはアプリを軸にしたサービス「“役に立ちたい人”の気持ちを後押しするDNPソーシャルアクションサービス『May ii(メイアイ)』の現状と今後の可能性」。 「May ii」は大日本印刷株式会社(DNP)が開発したアプリです。 移動に困っている人と手助けしたい人をつなげたり、街なかの困ったことを学んだり、日常のちょっとした時間でできる貢献活動を地域市民に推奨、称賛することで行政や事業者に頼り過ぎない地域共生社会を実現できる「市民が主役になるコミュニティプラットフォーム」で、「助け合い行動を促進・可視化」することができます。 2018年度に幾多の実験を重ねて、2019年7月にリリースしました。今回のご講演では、May iiの発起人である松尾氏に、開発の経緯と現状、およびダイレクトマーケティングへの適用を初めとする今後の展開について語っていただきました。 実現したいこと(ビジョン)は、「社会全体の活動総量の増加」、果たすべきミッションは「気軽にMay I help you [...]
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