食品広告関連法規制のトピックス

<発表者>
広告リスク研究所 矢野 誠二氏

・概要

糖類・ナトリウム塩不使用・無添加表示の基準は、食品表示基準第七条に定められています。一方、今年3月に出された、「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」で示された、食品添加物の不使用・無添加に関する規制は、表示禁止事項を定めた食品表示基準第九条に基づくものです。不当な食品添加物の不使用表示が、同条に基づく優良・有利誤認表示として規定されたことは、商品本体表示に止まらず、広告にも多大な影響を与えることが懸念されます。
同ガイドラインでは、何が添加されているかが曖昧な単なる「無添加」の表示や食品表示基準に規定されていない用語(人工、合成、 化学、天然)を使用した表示が禁止されているほか、特定の添加物について不使用・無添加表示を行う場合は、元々その添加物が添加されない場合や同様の働きをする原材料・添加物が添加されている場合は表示不可としています。
特定の添加物が不使用・無添加である旨の表示についての規制内容は、別表記載事項を含めた「食品表示基準」や「食品、添加物の規格基準」に精通していなければ理解が難しく、一般的な販売業者が不使用・無添加表示の可否を判断することがかなり困難な課題となることが予想されます。

令和五年4月から遺伝子組換え表示制度が完全施行される、遺伝子組換え表示対象農産物を含む場合の表示は従来通りですが、これまで、大豆・とうもろこしについて5%まで遺伝子組換え農産物の混入が認められていた“非遺伝子組換え表示”は、意図せざる混入がないことを確認できている場合の“遺伝子組換えでない”旨の表示と、5%以下の混入の可能性が否定できない“分別生産流通管理済み”“遺伝子組換え混入防止管理済み”等の表示に区分されることになります。

6月に発表された「インターネット販売における食品表示の情報提供に関するガイドブック」は、その内容に従った表示を義務付けるものではありませんが、大手事業者がガイドブックの内容に従った表示を取り入れると、それがデファクトスタンダード化することも想定されます。
直ちにガイドブックに従った表示に変更することが難しい場合も、必要になったときにすぐに対応できるよう、自社の現状とガイドブックの内容を照らし合わせて、課題の整理は進めておくことが望ましいと考えます。