「『将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示に対する執行方針』に関するパブリックコメントの結果及び同執行方針について」

<発表者>
法務研究部会長 高橋善樹弁護士(太樹法律事務所)

2020年12月に実施した第3回法務研究部会では「将来価格を比較対照価格とする二重価格表示の執行方針について」を取り上げましたが、その後、同年12月25日にパブコメの結果概要および執行方針が公表されました。前回の部会で課題としていた通販事業者にとっての「一般的な販売形態」に関してパブコメにより具体例が示され、執行方針の本文についても追記個所が見られました。
これら内容についてフォローすべき点が複数あったことから、第5回法務部会において再びテーマとして取り上げるとともに、特定商取引法改正のパブコメが出された際の意見書作成の準備など、問題意識について共有すべくポイント解説を行いました。
今回公表されたパブコメはかなりボリュームがあり、企業にとっては参考になると思われます。変更点については1つ1つ当たって確認し、レジメに追記として加えました。全体ではたいした変更とは言えないものの、消費者庁がどのような意味で追記したのかを考えてみると役に立ちます。また、追記個所については、消費者庁が施した追記の契機や理由を押えておく必要があると思います。
今回の執行方針では、将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示の意味について「過去の販売価格が存在しているか否かを問わず」と、景品表示法を適用する場合の考慮事項等を明らかにしています。また、適用する際の考慮事項として、「例えば、一般的な販売場所とはいえない場所のみに商品を陳列する予定であるなど」との解説を加えました。新たに「のみ」が付けられたことは、テレビやネットを通じた「通信販売」という販売形態を念頭に置いている可能性を示唆しています。
従いまして、まずは「将来その価格で販売することがはっきりしている」「期間や期限をあらかじめ明示する」など、基本的なポイントを前もって押えておくことが重要です。これら基本事項をクリアしていない場合は、「合理的かつ確実に実施される販売計画を有していなかった」と強く疑われてしまう可能性があるので注意してください。