FEATURED NEWS
2023年9月21日 開催レポート(法務研究部会)
1.ステマ規制(令和5年3月28日内閣府告示第19号)対策のおさらい 2.“さくらフォレスト事件”と機能性表示食品制度の今後 <発表者> 広告リスク研究所 矢野 誠二氏 ・概要 1.ステマ規制(令和5年3月28日内閣府告示第19号)対策のおさらい 1)消費者には、“第三者の表示”には誇張・誇大が含まれないと受け止められる。事業者の表示を“第三者の表示”と誤認させること自体が不当表示。 2)アフィリエイターが行う表示は、事業者とアフィリエイターとの間に、表示についての直接・間接又は明示・黙示の契約関係が存在するものであり事業者の表示となる。(消費者庁の基本姿勢) 3)第三者の見解を装った事業者の表示(ステルスマーケティング)と判断された場合は、訴求内容の正誤にかかわらず措置命令の対象。(課徴金は対象外) 4)(事業者の表示と判断されているため)アフィリエイターの表示内容が、「有利誤認」「優良誤認」「他の告示違反」に当たる場合、事業者に措置命令+課徴金の可能性も。 5)ステルスマーケティングは、リスクの大きな広告手法。(事業者の意識改革が実用) 2.“さくらフォレスト事件”と機能性表示食品制度の今後 1)届け出た機能性表示食品の根拠の合理性が問題にされた初の事例。 2)いずれの根拠も、届出ガイドラインに照らせば不適切であることは明らか。 3)通販事業者が自ら合理性を評価することは困難であり、契約内容に十分なリスクヘッジが必要。 4)機能性表示食品を扱う通販事業者は、(機能性表示食品メーカーの)事後チェック記録・分析実施記録等を確認・保存し、広告表現は、業界自主基準を順守すること。 以上 [...]
2023年7月20日 開催レポート(法務研究部会)
「フリーランス保護法」の概要と対応ポイントの整理 <発表者> 日本ダイレクトマーケティング学会法務部会長 高橋善樹弁護士 ・概要 2023年4月に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス保護法)が成立し、5月から公布されました。政令やガイドラインはまだできていないものの、「フリーランス保護法」の概要や対応ポイントについて、一足早く高橋部会長による解説が行われました。 近年、個人がフリーランスを含む多様な働き方の中から、自分に応じた働き方を選択できる環境整備が重要となっています。その一方で、発注者による報酬の支払遅延や仕事内容の変更などのトラブルも多く発生。こうした状況を改善し、個人が事業者として受託業務に安定的に従事することができる環境を整備するために「フリーランス保護法」が制定されました。 部会ではこの法律を、第一章の総則に始まり、フリーランスを「事業者」の側面で捉えて取引の適正化を目指し、公正取引員会、中小企業庁長官による下請法に準じた規制を行う第二章、フリーランスを「特定受託業務従事者」として「労働者」の側面からとらえ、就業環境の整備に関する規制を行う第三章に分けて説明が行われました。 フリーランス保護法では個人法人を問わず、働き手が一人で従業員がいない点に着目して定義しており、建設業の一人親方や個人受託の自動車運送業者等なども含まれると説明。業務を委託する側の特定業務委託事業者には、これらフリーランスに対し、報酬額や支払期日、その他の事項を書面又は電磁的方法により明示するなど、下請法に準じた規定が設けられているとしました。さらに、労働環境整備として妊娠、出産、介護といった個人の状況に応じた必要な配慮義務を負うことや、違反した場合は行政処分や罰金が科されることも強調しました。 また同法律の課題として、単発の業務委託は対象外となることや、実態は会社から指揮命令を受けて働いている労働者であるにもかかわらず、業務委託契約が締結されている「偽装フリーランス」になることなどへの指摘がありました。 以上
2023年6月15日 開催レポート(法務研究部会)
「アフィリエイトとステルスマーケティングについて」 <発表者> 一般社団法人 日本アフィリエイト協議会 代表理事 笠井北斗氏 ・概要 消費者庁の新たな規制として令和5年10月1日から、ステルスマーケティングが景品表示法に盛り込まれることになりました。SNSや口コミサイトなどへの投稿が目立つステルスマーケティングは、アフィリエイトにおいても注意しなくてはならない行為です。ただ、未だに曖昧で解釈が困難な部分も多く、広告主である通販やEC事業者にはとまどいも見られます。 そこで今回の定例部会では、ステルスマーケティングとアフィリエイトの関連性や留意ポイント、アフィリエイトを利用する通販・EC事業者が意識すべき内容について笠井氏が解説を行いました。 まず、アフィリエイト自体は合法であるものの、アフィリエイトサイトにおいて虚偽・誇大な広告表示をした場合は優良誤認として規制され行政処分を受けることになることを強調。アフィリエイトサイトが虚偽・誇大表示を行っていたことで、これまでは広告主側が行政処分や差止請求等のペナルティを受けた事例はないものの、今後はより細かい注意が必要と述べました。 TwitterやInstagramへの投稿といったインフルエンサーマーケティングにおいては、「広告」という表示が目立つようになっているかどうかなど、広告主である通販・EC事業者も注意すべきと言及。インフルエンサーに対しては、特別報酬やプレゼントなどの提供を条件に「広告明示」を義務付けるなどの施策を推奨しました。 さらにアフィリエイト運用時に注意すべきポイントとして、「アドアフィリエイト」が高リスクであることをはじめ、中リスクの SNSやランキング表示には「広告明示」やランキングにおける「根拠表示」が必要とアドバイス。アフィリエイターによる不正・違法行為や不適切な広告出稿が増えているため、信頼できるアフィリエイターやASP・代理店・コンサル会社を選ぶことが重要だと語りました。 以上
2023年5月25日 開催レポート(法務研究部会)
「アップセル・クロスセルならびに電話勧誘販売に関する規制強化、およびステルスマーケティング規制について」 <発表者> (公益社団法人)日本通信販売協会 専務理事 万場徹様 ・概要 消費者庁より2023年2月に「特定商取引に関する法律施行令及び預託等取引に関する法律施行令の一部を改正する政令」が公表されました。さらに従来の特商法での規制に加え、アップセル・クロスセルならびに電話勧誘販売に関する規制強化が加わりました。 今回のセミナーでは、まず2022年と2023年の特商法改正に盛り込まれてきた規制内容を確認し、規制実務上の留意点等を紹介。次いで、「電話勧誘」に絡み、消費者に電話をかけさせる方法について、誘引する際の手段を政令で「限定列挙」した点について説明がありました。 テレビやラジオ、雑誌、新聞、WEBなどで誘引し注文の電話をかけさせた際に、広告にない商品を不意打ち的に勧誘した場合、6月以降は「電話勧誘販売」の規制を適用。そのため、受注時にクロスセルで他の商品を勧めたり定期購入へのアップセルを予定したりしていれば、あらかじめ広告にその旨をある程度具体的に記載しておくことが必要と指摘しました。 また、電話勧誘販売に該当する場合は、「書面の交付義務」や「クーリングオフの適用」といった規制を受けることになり、注意が必要だとしています。 併せて、10月から施行される景品表示法における同告示改正(5条の3・いわゆるステルスマーケティング規制)についても解説。ステルスマーケティングに関し強力な規制効果が見込めるため、注意が必要と指摘しました。問題のない商行為や商習慣まで景品表示法違反となる可能性があることや、被害事例が示されていないので具体的なターゲットがつかみにくいことなどを問題点として挙げ、告示違反を恐れて事業者が委縮するのではないかとの懸念を示しました。 以上
2023年4月20日 開催レポート(法務研究部会)
「個人情報の漏えいに対する備え」 <発表者> 日本ダイレクトマーケティング学会法務部会長 高橋善樹弁護士 太樹法律事務所 土肥衆弁護士 ・概要 不可避的に生じるおそれがある情報漏えい問題に対して、どのように備えておくべきかについて解説が行われました。 個人情報の漏えいには、内部からの漏えいと外部からの不正アクセスの問題があること、またこれらの漏えいがあった場合には、個人情報保護委員会への速報、確報、本人への通知等個人情報保護委員会のガイドラインに定められている必要な対応についての説明がありました。 上記対応のほか、外部からの不正アクセスの場合においては、原因と漏えいの有無の調査、問い合わせ窓口の設置、運営やクレジット情報等の漏えいを伴う場合には、カード決済を復旧させるために必要な対応等に係る費用等を含め、サイバー保険の利用とその効果の検証、個人情報の管理、ネット決済等の委託に伴う契約条項等の検討等、多くの課題があります。 また、内部からの漏えいの場合においては、従業員の連絡先等の情報が入ったスマホ、ノートパソコンの紛失、盗難等が考えられますが、これらによってもガイドラインに定められている必要な対応が求められる場合があります。 リスク管理として、個人情報のセキュリティ対応を行うことはもちろん、不可避的に生じるおそれがある情報漏えい問題に対して、どのように備えておくべきか、あらかじめ検討をしておくことが推奨されるといえます。 以上
2023年3月16日 開催レポート(法務研究部会)
「優先的地位の濫用に関する緊急調査の結果」について <発表者> 日本ダイレクトマーケティング学会法務部会長 高橋善樹弁護士 ・概要 優越的地位の濫用に関する緊急調査において、令和4年12月に13社の事業者名が公表され、4030社に対して注意喚起文書が送付されたことを受け、重要と思われるポイントについて解説が行われました。 まず、今回の優越的地位の濫用の緊急調査については、実態調査としながら事業者名の公表、注意喚起文書の送付が行われており、単なる実態調査の範囲を超えていると説明。今後も引き続き今回の緊急調査を分析し、コンプライアンスの在り方を検討しておくことが重要としました。 詳細として、令和4年2月に独占禁止法のQ&Aが改定され、「労務費、原材料費、エネルギーコスト等のコスト上昇分を取引価格に反映せず、従来どおりに取引価格を据え置くことは、独占禁止法上の優越的地位の濫用の要件の1つに該当するおそれがある」とされたことについて説明がありました。 特に、「受注者から取引価格の引き上げを要請されていない場合において、労務費、原材料費、エネルギーコスト等の上昇を理由とした取引価格の引き上げを貴社が自主的に取引価格を引き上げたことはありましたか」の質問に対し、「自主的に引き上げたことはない」と発注者が回答した場合について言及。そのあとの「貴社が取引価格を引き上げなかった商品・サービスについて、貴社と受注者との間で、価格交渉の場は設けましたか」の質問に対して「設けていない」と回答すると注意喚起文書が送付されたことについて、注意すべき重要ポイントであると述べました。 注意喚起文書の送付について、違反する前の段階で当局から指摘を受けるリスクは拡大していると指摘。今後は違反手前の段階でもこういった運用が行われる傾向があることを考慮し、発注側はコンプライアンスの基準厳格化を検討せざるを得ないとしました。 以上
Subscribe to our Newsletter
エラー: コンタクトフォームが見つかりません。